地域医療に飛び込む戦闘型薬剤師!〜薬剤師の新しいカタチを模索〜 加藤薬剤師インタビュー

処方せんどおりに調剤するだけというイメージの多い薬剤師。そのイメージを払拭するべく、従業員のスキルや薬局のサービスの質を高め、患者さんに喜んでもらえる薬局作りに奮闘している加藤薬剤師にお話を伺いました。

加藤信幸 薬剤師 / アクア薬局(大阪府茨木市・豊中市)

2014年、27歳でアクア薬局を創業。現在は茨木市と豊中市に3店舗を展開。在宅医療にも力を入れており、患者さんが住み慣れた自宅での生活ができるように、24時間365日対応可能な体制を構築。KISA2隊では、大阪全域をカバーする戦闘型薬剤師として活躍中。

目次

27歳で独立、地域に還元できる在宅医療にやりがいを見出す

まずは、KISA2隊の活動を始める前の話をさせていただきます。薬学部を卒業後(当時は4年制でした)アルバイトでお世話になっていたドラッグストアで薬剤師として働き始め、あっという間に副店長まで昇進しました。

とにかく毎日、がむしゃらに働いていたこともあり、その後の転職を経てからも、薬剤師の業務だけでなく薬局の運営全般にも関わる機会をいただきました。その経験もあり、27歳の時に勇気を出して独立。自分の薬局を立ち上げました。

2015年頃からは、在宅医療にも取り組み始めました。この分野に参入している薬局がまだ多くはなかったことから、おかげさまで大変好評を頂きました。その結果、最初の拠点である茨木市に加え、豊中市にも新たな店舗をオープンすることになりました。在宅で最期まで過ごすことを支えているという実感や地域に貢献しているという達成感があり、この想いに賛同してくれるスタッフがいるので、ありがたい限りです。

コロナ時代に挑む薬剤師、24時間在宅医療とKISA2隊への参画

2018年からは日常業務の傍ら、週末はMBAを取りに大学院へ通っていました。その時、オンライン診療のシステム開発を行っている企業の経営幹部に出会って意気投合しました。

当社はもともと、終末期医療などで緊急時には24時間対応を実施していましたが、その会社が受注した新型コロナの在宅事業でも24時間対応のニーズがあることを聞き、ぜひ手伝ってほしいとの依頼を受けて、コロナ患者さんに対しても24時間対応薬局の仕事をすることに。

ちょうどその頃、セミナーに参加したのをきっかけに奥先生や小林先生と知り合い、KISA2隊の薬局チームにも参加することになったんです。

企業の在宅コロナ事業と、KISA2隊と2つを掛け持ちして動くことになったんですが、それ以前からも、24時間365日いつでもなんでも対応します!というスタイルでずっとやってきているので、こなせる自信はありました。

KISA2隊の良いところは、医師同士の連携がきっちりしている点です。MCSを活用した引き継ぎもしっかりしているので、安心して患者さん宅にお届けに伺えますし、ひとりでコロナ患者さんに向き合っていた私にとって非常に心強かったです。

KISA2隊では、大阪市内で往診した患者さんの処方を薬局チームで分担しました。私の薬局では、他の薬局がカバーしきれていないエリアや、対応困難なケースをフォローする役割を果たしました。私私の方針は、対応件数の取りまとめを重視すること。それにより各薬局の採算を確保し、地域ごとにさまざまな事業所との関わりを深めることを意識しています。

KISA2隊の一員としてクラスター支援も行い、非常に学びになりました。往診チームとは異なり、薬剤師は発症している患者さん宅内へ入る機会が少ないのですが、それでも何度か現場に立ち会い、注入や薬の詰め替えなどを経験しました。防護服の着脱の方法や検体の取り方なども学び、その経験が後の業務に活かされています。

加藤さん、こぼれ話

大阪府全域の大体の地名や位置がわかって、だいたいどこでも見たことあるみたいな感じになったのは、ちょっと面白かったですね。

もう走りすぎてちょっと飽きたところもあります。笑
普段行き慣れないところの道を全部覚えたりして楽しみを見つけてました。

薬も安心も届ける、新型コロナウイルス時代の薬剤師の役割

新型コロナウイルス対策の現場で感じたのは、患者さんの精神的な不安が大きいことでした。即時的な薬の提供だけでなく、患者さんと深くコミュニケーションを取ることで安心感を与えることができる、その役割にやりがいを感じました。夜間で薬が手に入らないことに対する心配や症状の悪化に対する不安に対して相談に乗るなど、薬の説明以上のサポートを提供しました。

元々在宅医療や終末期医療に力を入れている私たちの薬局は、新型コロナウイルスに感染した患者さんでも、患者さんやご家族としっかりとコミュニケーションを取りながら、最後までサポートするよう心掛けています。その経験の中で、どのように支援すれば患者さんが喜び、どの部分で不安を感じるかを学んできました。私自身もコロナに感染した経験から、患者さんの困りごとや不安をより深く理解し、手厚いフォローができるようになったと思います。

KISA2隊での体験からる、地域医療と薬剤師の可能性

地域の在宅医療って具体的にどう取り組んだらいいか分からないこともあり、思い切って飛び込んでくる薬局や薬剤師はあまりいない印象です。

KISA2隊に参画し施設に行くことで、施設でどんなことが起きているのかを知り、感染対策もちゃんとやれば怖くない事を理解することができて、非常に自分自身の勉強になった感じです。もちろんドクターやチームメンバーといろいろコミュニケーションが上手に取れるようになって、チームで動くことの意義を感じられたのも大きいです。

コロナ後、往診クリニックの増加が見受けられますが、開業医の力だけでは往診が難しい場合もあります。しかし、KISA2隊のようなチームでのサポートがあれば、たとえば最後まで通った医師に看取ってもらいたいという患者さんの想いにも寄り添えたり、地域の在宅医療を底上げできるはずです。

KISA2隊というチームだったからこそ、最後まで走ってこれたかなと思いますし、KISA2隊の活動を知ってもらって、僕のように新しい一歩を踏み出せる人が増えることを期待しています。


加藤さん、本日はありがとうございました!

左から:インタビュアー 金児、加藤さん、インタビュアー 増井

施設情報

施設名: アクア薬局
所在地: 〒567-0031 大阪府茨木市春日1丁目4-10 グラン長久茨木103

電話:072-657-9111
FAX:072-657-9112
HPhttps://www.aquapharmacy.co.jp/

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